三角関数の無限積表示を用いたグレゴリー・ライプニッツ級数および関連する 3 乗和の計算

これは数学に余裕のある人向けの記事である. 厳密性に欠ける部分もあるが, バーゼル問題のオイラーの解法をもじったものであり, アイデア的には面白いと思う.

グレゴリー・ライプニッツ級数

まず, 最初に示したいのは次のグレゴリー・ライプニッツ級数である:

\[
\frac{\pi}{4} = \frac{1}{1}-\frac{1}{3}+\frac{1}{5}-\frac{1}{7}+\cdots
\]

【計算方法】
\( \sin \left( \frac{\pi (z + 1)}{4} \right) \) は \(z = -1, 3, -5, 7, -9, \cdots\) で \(0\) となるから, \(c\) を定数とすると,

\[
c \cdot \sin \left( \frac{\pi (z + 1)}{4} \right) = \left( 1 + \frac{z}{1} \right)\left( 1-\frac{z}{3} \right)\left( 1 + \frac{z}{5} \right)\left( 1-\frac{z}{7} \right) \cdots
\]

と因数分解できる(と思う). この式に \(z = 0\) を代入すると, \(c = \sqrt{2}\) が導かれるから,

\[
\sqrt{2} \sin \left( \frac{\pi (z + 1)}{4} \right) = \left( 1 + \frac{z}{1} \right)\left( 1-\frac{z}{3} \right)\left( 1 + \frac{z}{5} \right)\left( 1-\frac{z}{7} \right) \cdots
\]

を得る. 一方, 三角関数の加法定理とマクローリン展開により,

\begin{align}
\sqrt{2} \sin \left( \frac{\pi (z + 1)}{4} \right)
&= \cos \frac{\pi z}{4} + \sin \frac{\pi z}{4} \\
&= \left( 1-\frac{1}{2!} \left( \frac{\pi z}{4} \right)^2 + \frac{1}{4!} \left( \frac{\pi z}{4} \right)^4-\cdots \right)
+
\left( \frac{1}{1!} \cdot \frac{\pi z}{4}-\frac{1}{3!} \left( \frac{\pi z}{4} \right)^3 + \frac{1}{5!} \left( \frac{\pi z}{4} \right)^5-\cdots \right) \\
&= 1 + \frac{\pi}{4} z-\frac{\pi ^ 2}{2! \cdot 4 ^ 2 } z^2-\frac{\pi ^ 3}{3! \cdot 4^3} z^3 + \frac{\pi ^ 4}{4! \cdot 4^4} z^4 + \cdots
\end{align}

となる. よって, \(z\) の係数を比較して,
\[
\frac{\pi}{4} = \frac{1}{1}-\frac{1}{3}+\frac{1}{5}-\frac{1}{7}+\cdots
\]を得る. ■

関連する 3 乗和

ちなみに, ニュートンの恒等式などを用いると,

\[
\frac{\pi ^ 3}{32} = \frac{1}{1^3}- \frac{1}{3^3} + \frac{1}{5^3}- \frac{1}{7^3} + \cdots
\]

を得ることができる.

【計算方法】
まずはニュートンの恒等式について述べる.(証明は省略する. )

【ニュートンの恒等式】
\(n\) 個の変数 \(x_1, \cdots, x_n\) について, \(i\) 次の基本対称式を \(e_i (x_1, \cdots, x_n)\), \(i\) 乗和を \(p_i (x_1, \cdots, x_n) = x_1^i + \cdots + x_n^i\) とする. このとき,
\[
k e_k = \sum_{i=1}^k (-1)^{i-1} e_{k-i} p_i.
\]

そして, 今回の計算では, \(x_j = \frac{(-1)^{j-1}}{2j-1}\) として, \(n \rightarrow \infty\) とする. すると,
\begin{align}
\sqrt{2} \sin \left( \frac{\pi (z + 1)}{4} \right) &= (1+x_1 z)(1+x_2 z)(1+x_3 z)(1+x_4 z) \cdots \\
&= e_0 + e_1 z + e_2 z^2 + e_3 z^3 + e_4 z^4 + \cdots
\end{align} となる. したがって, \(e_0 = 1, e_1 = \frac{\pi}{4}, e_2 = -\frac{\pi^2}{2! \cdot 4^2}, e_3 = -\frac{\pi^3}{3! \cdot 4^3}, \cdots\) となる. また, \(p_1 = e_1 = \frac{\pi}{4}\) である. ここで, ニュートンの恒等式により,
\[
2 e_2 = e_1 p_1-e_0 p_2
\] であるから,
\[
2 \cdot \left( -\frac{\pi^2}{2! \cdot 4^2} \right) = \frac{\pi}{4} \cdot \frac{\pi}{4}-p_2
\] である. したがって,
\[
p_2 = \frac{\pi^2}{8}
\] すなわち,
\[
\frac{\pi^2}{8} = \frac{1}{1^2} + \frac{1}{3^2} + \frac{1}{5^2} + \frac{1}{7^2} + \cdots
\] を得る. また, ニュートンの恒等式により,
\[
3 e_3 = e_2 p_1-e_1 p_2 + e_0 p_3
\] であるから,
\[
3 \cdot \left(-\frac{\pi^3}{3! \cdot 4^3} \right) =-\frac{\pi^2}{2! \cdot 4^2} \cdot \frac{\pi}{4}-\frac{\pi}{4} \cdot \frac{\pi^2}{8} + p_3
\] を得る. したがって,
\[
p_3 = \frac{\pi^3}{32}
\] すなわち,
\[
\frac{\pi^3}{32} = \frac{1}{1^3}-\frac{1}{3^3} + \frac{1}{5^3}-\frac{1}{7^3} + \cdots
\] を得る. ■

このようにして, 5 乗和や 7 乗和などについても計算することができる.

参考

ニュートンの恒等式とその証明 | 高校数学の美しい物語:https://manabitimes.jp/math/1304

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